2010年7月9日金曜日

日経Linux 2010年8月号


Fedora 13の新機能をまとめた特集2を書かせていただきました。「fs-snapshot」という、パッケージ操作前にシステムのスナップショットを作成するyumプラグインについては、かなり突っ込んで解説しています。ここまで詳しく解説しているのは多分世界でこの記事だけでしょう(笑)undocumentedな情報も結構盛り込んでいます(と言ってもプラグインはPythonスクリプトなんで読めば一発で分かることですが)。ついでにBtrfsのスナップショット管理方法についても割と詳しく解説しています。


実はこの機会にBtrfsの基本や、新管理コマンド「btrfs」についても書きたいなと考えていたのですが、Btrfs特集を2009年6月号でやっていて同じ内容になるからという理由で却下されてしまいました。いろいろ変化があるので是非書きたかったのですが残念です。まぁ、Btrfs自体の「引き」が微妙のようですから仕方ないですね。


特集に関しては、簡単にではありますが、統合認証サーバー「SSSD」について紹介できたのも良かった点です。SSSDは、認証情報のキャッシュ機能を持つ、一種の認証サーバー・プロキシです。オフライン時にもネットワークログインが可能になりますので、ノートPCなどでも、アカウント情報を集中管理しやすくなります。ただし認証情報のキャッシュが可能なのは、現状では、バックエンドの認証サーバーが「FreeIPA」「LDAP+Kerberos」「LDAP+TLS(SSL)」の場合だけ。NISとかでも認証情報をキャッシュしてくれるようになると、個人レベルで使いやすくなるんですけどね。


連載「Linuxカーネルの新機能」では暗号の並列処理用ラッパー「pcrypt」を取り上げました。現在のところは実質的にIPsec専用という感じですが、dm-cryptなんかでの利用も検討されている仕組みです。CPUのmany core化が進んでいますので、今後はこうした仕組みがどんどん使われるようになるでしょうね。なお、管理用インタフェースが定まってないせいで、設定方法がちょっと変わっているのが面白く感じました。詳しくは同誌を参照してください。


自分以外の記事では、NTT OSSセンタの石崎晃朗氏が書かれている「知って得する!ファイルシステムの真髄」の第4回が非常にまとまっていて興味深く読みました。囲み記事も面白いです。また、ミラクル・リナックスの高橋斉大氏の「システムトラブル解消実践テクニック」第5回も良いですね。今回は、メモリー不足によるトラブル対応策というテーマで、OOM Killerやovercommitの解説を導入に色々と書かれています。

3 件のコメント:

nato6933 さんのコメント...

失礼します.初めてコメントします.
こちらの記事で紹介されている8月号の特集,国産無線ルータをサーバにする,を記事を見ながら挑戦しているのですが,つまずいた部分があり前へ進めません.

末安さんが書かれた記事ではないというのは分かっているのですが,他にどのようなところで質問していいものかわからず,こちらへ投稿させていただいた次第です.

もしご存知でしたらよろしければご解答頂けないでしょうか.

以下環境です.

サーバにするルータ:MZK-W04NU
ホスト:CentOS5.3

現状です.

ファームの書き換えは終了し,sambaサーバにしようというところです.
本誌のP76,「ファイル共有サーバーを構築する」の項にてsambaのインストールコマンド
opkg install luci-app-samba
を実行したところ

Installing luci-app-samba (0.9+svn6231-1) to root...
Downloading http://downloads.openwrt.org/snapshots/trunk/ar71xx/packages/luci-app-samba_0.9+svn6231-1_ar71xx.ipk.
Installing samba3 (3.0.24-7) to root...
Collected errors:
* verify_pkg_installable: Only have 956kb available on filesystem /overlay, pkg samba3 needs 1561
* opkg_install_cmd: Cannot install package luci-app-samba.

というようなエラーがでます./overlayの容量が足りないということだと思うのですが,これの具体的解決はどのようにすればよいのでしょうか.
よろしくお願いします.

sueyasu さんのコメント...

nato6933さんがおっしゃるように/overlay領域が不足しているようです。MZK-W04NUの内蔵フラッシュは8MBしかありませんから、わずかな状況の変化で足りなくなることは有り得ます。
手軽な対策には、(1)/overlayの消費を減らして導入可能にする、(2)USBメモリーなどの外部領域にパッケージを導入する、のどちらかが考えられます
簡単なのは(1)です。該当記事を読んでみましたが、opkg upgrade〜 で実施しているドライバ類のアップグレードは省略しても良さそうです。また、Sambaを導入されるということで、USBストレージを利用されるのだと思いますが、ext3だけを利用することにすればVFATとNLS関連のモジュールも不要です。Linuxの母艦でUSBストレージの区画作成と初期化をすれば、fdiskとe2fsprogsも不要になります。/overlay以下を消去するか、ファームの再インストールをされるなどしてから、環境を構築し直してみてください
(2)についてはOpenWrtのWikiに文書がありますので、そちらを参照してください。下の方に「Installing and using OPKG packages in mount point other than root」というセクションがあります。
ご参考になれば幸いです。

nato6933 さんのコメント...

遅くなって申し訳ありません.
末安さんのアドバイス通り,余計なものをインストールせず,もう一度OpenWrtを入れ直し,無事sambaのインストールに成功しました.

本当にありがとうございました.